からす座とコップ座

2021年6月
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 南側の光害の影響で、少々わかりづらくなっていますが、春の大曲線のさらに先にあるからす座とコップ座です。からす座は、比較的同じ明るさの星がこじんまりとまとまっているので、意外にわかりやすい星座です。さらにその西側にコップ座というちょっとマイナーな星座が見えています。

 からす座のモデルのからすは、ギリシャ神話では「アポロンの嘘つきからす」と言われています。かつては白く美しい鳥で、人の言葉を話していたとされるからすでした。ある日、このからすは、道草を食ってアポロンのところへ行くのが遅くなりましてその理由を問いただされたのですが・・・アポロンの恋人のコロニスが、他の男と密会している、その様子をみていたのだとアポロンに口からでまかせの嘘を言ってしまいました。アポロンはすぐさま密会現場に赴き、人影に向かって矢を放ちましたが・・・なんとあろうことかコロニスを射殺してしまったのです。嘆き悲しむアポロンにコロニスは自分のお腹の子供は何とか無事に育ててほしいと言い残して息絶えました。

 これに腹を立てたアポロンは、からすの色を真っ黒にしてさらに人の言葉を奪い、罰として天にはりつけてしまったのです。からす座を構成する4つの星は、からすをはりつけた銀の釘と言われています。からす自体は、夜空の漆黒に紛れて見えないということですが、光害があったとしても見えるわけではありません。

からす座・コップ座の探し方

 からす座は、春の大曲線の終点のスピカをもう少し伸ばした先にある帆掛け船の帆のような形をした星の並びです。夜空の暗い場所では、意外と見つけやすいと思います。
 コップ座はさらに西側に目を移したら、ちょっといびつな4等星で構成される四角形が見えると思います。それがコップの本体です。水を受ける上の部分は、4等星~5等星とさらに暗くなるので、肉眼で追いかけるのは本当に夜空の暗い場所に行かないとむつかしいかもしれません。
 なお、この南側には88星座で最も大きいうみへび座が横たわっています。この2つの星座よりさらに南側なので、光害のない場所で探してみましょう。
 下の画像にマウスポインターをのせたら、からす座、コップ座の星座線が現れると思います。

撮影情報:2013年(平成25年)5月ごろ(詳細は不明)に自宅にて撮影


 ちなみに、コップ座の由来って何なのでしょうか?
 酒とぶとうの神バッカスが、酒を造るときに使う容器とも言われていますし、別の話では、魔女メディアが若返りの薬を煮込むための容器であるとも言われています。
あるいは先ほど話に出たアポロンが、からすを天にはりつけた際に見せしめのためにこの容器を置いたとも言われています・・・
 つまりカラスはどんなにのどが渇いても、目の前に水を満たした盃が見えても決して水を飲むことはできないと。
・・・ちょっと残酷ですね。

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