M1(NGC1952)/かに星雲

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今見ている天体は、どのくらい前の光?

 M1までの距離は約7200光年、つまり今見ているM1は正確には約7200年前の姿です。その時日本は、縄文時代前期。南九州で、日本最後の巨大カルデラ噴火(鬼界カルデラ噴火)が起き、周辺一帯が死の世界になったころです。

M1(かに星雲)
M1(かに星雲)
天体概要

 おうし座にあるかに星雲と呼ばれている超新星残骸です。超新星は、太陽の8倍以上重い星がその最期に起こす大爆発のことで、記録では西暦1054年7月に出現の記録が中国、日本には残っています。おそらくは満月と同じくらい、少なくとも―6等級で20日程度輝き続けていたと考えられています。当時は昼間でも怪しげな光が見えたことでしょう。
 星雲状の超新星残骸は、1731年にべビスにより発見されましたが、1758年にメシエも彗星の観測中に発見しています。なお、かに星雲(Crab Nebula)は後年イギリスのロス卿が、180㎝望遠鏡で観察した際に、微細なフィラメント構造がかにの足のように見えたことからつけた名前だそうです。
 実直径は約10光年程度といわれており、今でも秒速1800kmという速度で膨張し続けています。1948年には、強い電波の放射が確認され、1964年には可視光の約100倍といわれているX線、さらに1968年にはパルサーが発見されています。現在、パルサーの正体は約30回転/秒の中性子星であることが確認されています。

どんな感じで見えるの?

 M1はおうし座の右の角の先の星であるζ星のすぐ北西側にあります。上の写真で一番明るく光っている恒星がζ星です。双眼鏡だと、かすかに滲んだシミくらいにしか見えないでしょう。8㎝~10㎝程度の望遠鏡で、周囲が暗く、空の状態が良ければ島のような形がわかります。20㎝でもあまり見え方は変わりませんが、30㎝くらいになればそれなりに微細構造も見えるようになりそうです。ただし月あかりもなく、夜空の暗い場所であることが条件ですので、結構な田舎に行かないと難しいかもしれません。

ふっくんの感想と一言

 メシエ天体カタログの中で、超新星の残骸はM1のみです。ただ、星の最後の姿をとらえたものは、ほかにもM27(アレイ状星雲)やM57(リング星雲)などがあります。超新星は、私たちの宇宙を創っている様々な元素を生み出してくれています。私たちの体も、元のもとをだどれば、この星屑にたどり着くのですね。

メシエ番号(NGC番号)M1(NGC1952)
属する星座おうし座
種別超新星残骸
赤経05h34.5m
赤緯+22°01′
光度(等級)8.4等級
視直径6′×4′
地球からの距離7200光年
天体に関する諸元
  • その他のM1の写真

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