今見ている天体は、どのくらい前の光?
M20までの距離は約2,300光年~約7,600光年と非常に幅があり、確定的な距離は不明です。ここではおよそ5,200光年程度と考えると、今見ているM20は正確には約5,200年前の姿です。日本では縄文時代中期~後期で、集落が大型化し、植林農法なども行われるようになりました。青森県の三内丸山遺跡もこの頃の時代のものです。世界的に見れば、メソポタミア文明、インダス文明、黄河文明などが勃興あるいは繫栄したころです。星座の起源も、この頃にメソポタミアで生まれつつありました。
![M20(NGC6514)](https://stardome-momo.com/wp-content/uploads/2023/01/M20.jpg)
天体概要
いて座にある散光星雲で、明るい散光星雲が暗黒星雲により3つに切り裂かれているように見えるので、三裂星雲(Trifid Nebula)と言われています。干潟星雲と呼ばれるM8の北側にあり、双眼鏡だとほぼ同じ視野に入ります。
写真だとわかりやすいのですが、M20は北側に青色の反射星雲、南側に赤色の3つに割れているように見える散光星雲があり、三裂星雲は、この赤色の見え方からそう呼ばれています。周辺にはO型の非常に明るい星が100個以上あり、これらの星からの強烈な放射でガスが吹き飛ばされ、星形成は終わったとみられています。
メシエは1764年6月に発見、観測しています。別説では、1750年にルジャンテにより発見されたともいわれています。
近年では、HST(Hubble Space Telescope)による観測で、星生成領域から生まれたての星が出すジェット流が柱のように写っている画像が発表されています。
どんな感じで見えるの?
M20は双眼鏡で明るいM8を探せば、同じ視野のちょっと北側に見えます。双眼鏡だと存在が分かるかなという程度ですが、ちょっと空の条件が悪いと全く見えません。
8~10㎝程度の望遠鏡では月明かりや光害のない良い空で100倍程度で下側の散光星雲が見えてきます。もしかしたら散光星雲を3つに分割する暗黒星雲が見えるかもしれません。20㎝程度以上では、細かい星雲の構造が見えてくるようになりますが、空の状態が少しでも悪いと、なかなかむつかしいと思います。
ふっくんの感想と一言
M20は、写真で撮ると、赤い散光星雲とその上の青い反射星雲のコントラストが綺麗で、なかなか興味深い天体です。ただ、ほかの星雲についてもいえるのですが。。。眼視ではちょっと見えづらいかもしれません。
メシエ番号(NGC番号) | M20(NGC6514)/三裂星雲 |
属する星座 | いて座 |
種別 | 散光星雲 |
赤経 | 18h02.4m |
赤緯 | -23°02′ |
光度(等級) | 9.0等級 |
視直径 | 29′x27′ |
地球からの距離 | 5,200光年 |
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