今見ている天体は、どのくらい前の光?
M45までの距離は約440光年、つまり今見ているMは正確には約440年前の姿です。西暦1600年前後と言えば日本ではちょうど戦国時代末期から、徳川家康が江戸に幕府を開いたころになりますね。メシエ天体の中では比較的近い位置にある天体です。もし、今この瞬間のプレアデス星団の光を人類が見ることができたなら、その頃の地球や人類は、どのようになっているのでしょうか。
![M45(Pleiades)](https://stardome-momo.com/wp-content/uploads/2023/01/M45.jpg)
天体概要
紀元前750年頃のホメロスの手記にも載っていることや、紀元前1000年ごろの記録にもあることから、メシエ天体の中で、古くから知られていた天体です。日本でも平安時代の女流作家清少納言の枕草子の中で登場していることや、谷〇新司さんの歌から、ご存じの人も多いと思います。和名では『すばる』といいますが、これは元々は結ぶとか集まるという意味の言葉で、晩秋から初冬の東の空に細かな星が集まった姿は誰でもわかります。
普通の視力の人で6~7個の星が見えますが、目が非常に良い人には10個程度見えると言われています。私は目が悪いので、裸眼では星雲状にしか見えません。。。^^;;
双眼鏡だと数十個、望遠鏡を低倍率でのぞくと100個以上の星の集まりが見えるでしょう。また写真にとると青い反射星雲が一緒に写ります。最も明るい反射星雲は、メローペ星雲(IC349)と呼ばれています。
メシエは、1769年に5月に観測して記録に残しています。しかしこんな昔から知られている明るく大きな星団を彗星と誤るかなと思ったのですが、一説にはメシエの潔癖さゆえに都度都度だすカタログがキリ番(おそらく5か0)に天体がないのが許せなかったから無理やりねじ込んだとか。。。
ところで、西洋ではプレアデス星団と呼ばれているこの星団、明るい星にはギリシャ神話に登場するアトラス(父)とプレイオネ(母)と7人の娘たち(プレアデスの7人娘)で、名前はアルキオーネ、アステローペ、エレクトラ、マイラ、メローペ、タイゲタ、ケレノ・・・何か気づきませんか?実はこれSUBARU(旧富士重工)の車、その他同社の製品に名前が付いているのです。アルキオーネ改めアルシオーネは知っている人も多いかな?
なお、M2の年齢は5000万年程度と若い星団と言われていますが、星自体が重い星が多いので、さほど長生きはできないと言われています。せいぜい数億年(それでも長い!)とか。まさに谷〇新司さんの歌のように鮮やかな超新星爆発を起こしてその生涯を閉じるのかもしれませんね。
どんな感じで見えるの?
この天体を楽しむのは、双眼鏡一択です。(できれば月明かりのない)晩秋~初冬の東の空を見れば、星がホタルの光のように群れなしているのがわかるので、見つけるのもそんなに難しくないでしょう。冬本番となると、おうし座はほぼ頭の上に来るので、双眼鏡では寝っ転がってみないと首が疲れてしまいます。。。
望遠鏡を使う場合は、できるだけ倍率を低くして、広い視野のアイピースを使いましょう。口径の大きな望遠鏡は、焦点距離が長くなるので、どうしても低倍率にできません。そんな場合は、逆に倍率を上げて、名もなき細かい星々や(高い集光能力を生かして)メローペ星雲などを見てはいかがでしょうか?
ふっくんの感想と一言
![ふっくん](https://stardome-momo.com/wp-content/uploads/2022/02/939f75f5f657587fcb3a681150fd5537.jpg)
天文台で星空案内をするときに、たまにSUBARUの車のお客さんもおられます。
その時は、車のエンブレムの話もすることがあります。あのエンブレムはもちろんプレアデス星団を模したものですよ。(なぜ7人姉妹なのにエンブレムは星6つなんでしょうか?調べてみてください)
メシエ番号(メロッテ番号) | M45(Mel.22) |
属する星座 | おうし座 |
種別 | 散開星団(c) |
赤経 | 03h47.0m |
赤緯 | +24°07′ |
光度(等級) | 1.6等級 |
視直径 | 120′ |
地球からの距離 | 440光年 |
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