今見ている天体は、どのくらい前の光?
M42までの距離は約1,600光年、つまり今見ているM42は正確には約1,600年前の姿です。日本は古墳時代ですね。前方後円墳がたくさん作られた時期です。大仙古墳(伝仁徳天皇陵)が有名ですね。 世界史的には、西ローマ帝国の滅亡が、西暦476年…ちょうどこの時代かもしれません。
天体概要
オリオン座にある散光星雲/輝線星雲です。オリオンの横ベルトにあたる三ツ星の下に縦の並んだ小三つ星の中央にあり、満月の数倍の大きさがあります。明るい星雲なので、古くからその存在は知られていましたが、トレミーやティコなどは星として認識していたようです。記録として世に初めて知られたのは1656年のホイエンスによる独立発見です。メシエは1769年3月に記録に残しており、1771年には鳥が羽を広げたような星雲と中央のトラぺジウムをスケッチに残しています。
推定年齢は約1万年程度と非常に若く、距離と見かけの大きさから、実直径は約24光年と言われています。星のゆりかごとして、大質量星が誕生している現場と言われています。大星雲の中央部には、トラぺジウムという台形の形に並んだ4つの星を中心とした散開星団があり、その強烈な光によって、星雲自体が光っています。近年ではHubble Space Telescope(HST)やすばる望遠鏡などの観測から、オリオン大星雲の中に塵の円盤に包まれた星が多数確認されており、中には惑星系を持つものもあります。
ただ、オリオン大星雲(M42)やプレアデス星団(M45)、プレセペ星団(M44)など、古くから知られている大型の星雲や星団が続いているのは不思議なことです。(メシエカタログは、彗星と間違えてしまうような暗くて淡い天体が対象でした)これはリストを45にすることが一つの目標であったと同時に、どうしても南天の天体をリストアップしたラカイユカタログ42個に並ぶため41個を超えたかったからという話もあります。
どんな感じで見えるの?
M42は大型で明かるいので、肉眼でもその存在はわかります。一般的な天体写真で見ると、中心部のトラぺジウムや東西方向に3つ並んだ非常に若い星の光はつぶれてしまって見えないが、双眼鏡や望遠鏡による眼視観測ではその星の存在と周りを取り巻くガスの様子は非常にわかりやすく、興味深い対象となります。
双眼鏡では、トラぺジウムなどの中心の星と周囲のガスが羽を広げた鳥、あるいは蝶などように見えます。8~10㎝の望遠鏡では、低倍率にしてみれば星雲全体が非常に美しく見え、トラぺジウムも4つの台形に見えて興味深い眺めとなります。倍率を上げれば、星雲の濃淡自体もわかるようになります。
口径が20㎝以上ですと、さらに細かいガスの様子や中心星の姿、また緑色やピンク色に染まっているガスも30㎝以上の口径ならわかるようになります。
ふっくんの感想と一言
オリオン大星雲は、眼視を含めたどんな観測手段でも観察できる数少ない天体です。さすがのオリオンと思いたくなりますね。ちなみに春~夏に見える勇者ヘラクレス座には、北天一美しいと言われるM13があります。お互いメシエ天体もでかいものを持っているようです。
メシエ番号(NGC番号) | M42(NGC1976) |
属する星座 | オリオン座 |
種別 | 散光星雲/輝線星雲 |
赤経 | 05h35.3m |
赤緯 | -05°23′ |
光度(等級) | 4.0等級 |
視直径 | 85′×60′ |
地球からの距離 | 1,600光年 |
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