今見ている天体は、どのくらい前の光?
M31までの距離は約220万光年、つまり今見ているM1は正確には約220万年前の姿です。この頃地球に私たち人類の祖先が、アフリカを中心にサルより分かれて進化を始めたといわれています。しかしこの天体が、私たちの銀河系の外のはるか彼方にあるとわかったのは20世紀初頭のことです。その頃から人類が認識する宇宙の広さは加速度的に広がっていきました。その草分け的な天体なのです。
![M31(NGC224)](https://stardome-momo.com/wp-content/uploads/2023/01/M31.jpg)
天体概要
アンドロメダ座の腰付近にある天体で、夜空の暗い場所ならボーと千切れ雲のように見える天体です。見かけの大きさが、満月を4~5個並べたくらいで、結構大きな対象です。晩夏~秋にかけて見やすくなるので、ぜひ見てみたい天体です。
M31はその伴銀河であるM32やM110、さんかく座の銀河であるM33や私たちの天の川銀河、大小マゼラン星雲、その他の矮小銀河と共に、局部銀河群というグループを作っていますが、その中でも最大の銀河です。
M31は非常に明るい天体なので、10世紀前には「小さな雲」という形で記録として残っています。その後、多くの天文学者の興味を引く天体でしたが、20世紀初頭にまずローウェル天文台のスライファーがM31の視線速度を観測し、約300㎞/秒で近づいていることを確認しました。引き続いてエドウィン‐ハッブルが同銀河の中にセファイド型の変光星を確認し、観測の結果、アンドロメダ大星雲までの距離は約90万光年とはじき出しました。この値は、セファイド型変光星タイプの誤りから後に修正されましたが、いずれにしてもこの天体が私たちの天の川銀河の外にある天体という認識を与えたということは特筆に値するでしょう。
アンドロメダ銀河は、約120㎞/秒というスピードで私たちの天の川銀河に近づいており、約40億年後に2つの銀河は衝突して1つの巨大な銀河になると考えられています。その頃、地球がどうなるかわかりませんが、太陽の膨張でもうないかもしれませんね。ところで銀河同士の会合は珍しくなく、宇宙スケールで見れば、結構起きています。
近年のHubble Spece Telescope(HST)の観測で、M31の銀河中心核に2つの光の点があることが分かりました。かつて小さな銀河を吸収した名残ともいわれていますが、他の説もあるようです。
どんな感じで見えるの?
M31を見るには、大きな望遠鏡というより、双眼鏡で楽しんだほうがよいと思います。あるいは望遠鏡でみるにしても、倍率を低くして、広い視野を持つアイピース(接眼レンズ)を使用しましょう。
双眼鏡では、視野いっぱいに楕円の光芒が見えると思います。口径が大きくなると、光芒の中の濃淡が分かるようになります。8~10㎝程度の望遠鏡では50倍以下の倍率で見るようにしてください。光芒の濃淡が分かれば、それは渦巻きの腕になります。20㎝以上でも基本的には同じです。やはり双眼鏡のものでしょう。
ふっくんの感想と一言
アンドロメダ銀河までの距離は200~300万光年と結構幅がありますが、お隣さんの巨大銀河であることは変わりありません。数十億年後に合体するといわれていますが、銀河の衝突で星が衝突することはめったにありませんので、ご心配なく。。。というか、私たち誰も生きてませんね
メシエ番号(NGC番号) | M31(NGC224) |
属する星座 | アンドロメダ座 |
種別 | 系外銀河(Sb) |
赤経 | 00h42.7m |
赤緯 | +41°16′ |
光度(等級) | 4.8等級 |
視直径 | 160′×40′ |
地球からの距離 | 220万光年 |
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