夜空に輝くたくさんの星、人に一生があるようにこれらの星にも生まれてからその終焉までの長い生涯があります。それを見てみましょう。
星の誕生(原始星→前主系列星)
星の誕生は、宇宙に漂うガスの密度が高い部分で行われます。密度の高いガスが自己収縮により集まり、さらに周りのガスを自分の重力でさらに集めていくと、やがてガスの重力エネルギーが熱エネルギーとなって赤外線で明るく輝くようになります。星の赤ちゃん・・・原始星の誕生です。冬の代表的な星座であるオリオン座、その中央に位置している三ツ星の下にぼんやり縦に並んだ3つの天体(小三ツ星)が見えますが、その中央の天体M42(オリオン大星雲)はその星の赤ちゃん(原始星)が生まれている現場なのです。しかしこの時点の星(原始星)は、赤外線で輝いていることに加えて、周囲にたくさんのガスが漂っているので直接可視光線(私たちが認識できる光)で見ることはできません。
やがて、原始星は周囲のガスや塵から原始惑星系円盤を形成し、さらに原始星の中心部では原始星ジェットなどを形成していきますが、その中でも原始星を形成したガスはゆっくりと収縮を続けていきます。やがて周辺のガスは吹き飛ばされて、星は可視光でもみえるようになります。この時点の星を「前主系列星」と呼びます。ただこの期間は星全体の生涯から見れば1%程度です。

右の写真は、私たちの銀河系の伴銀河である大マゼラン星雲内内にあるLH95という星の生成領域です。明るい星、おとなしい星など様々な生まれたての星が輝いており、星の赤ちゃんから子供たちが群がっている様子がよくわかります。
NASA,ESA,and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration
壮年期の星たち(主系列星)
ガスの収縮が続いていくと、星の中心密度が高くなり、それにつれて中心温度も上がっていきます。やがて中心温度が1000万度を超えると、水素がヘリウムに変わる核融合反応が発生します。この時点で星は核融合のエネルギーで安定して輝くようになり、ガスの収縮は止まります。一人前の星である「主系列星」の誕生です。しかし主系列星になるためには、太陽の8パーセント以上の重さがないとダメなのです。それ以下の重量だと核融合反応が生じるまでに中心温度が上がらす、ガスの圧力で収縮が止まってしまい褐色矮星となってしまいます。私たちの太陽系最大の惑星である木星は、太陽になり損ねた星と言われることもありますが、ただ、木星の質量は太陽と比べると非常に小さいことも事実です。褐色矮星は太陽質量の約1%程度で生まれますが、それでも木星の質量の約13倍以上は必要なのです。
太陽、低質量星(赤色矮星)、褐色矮星、木星、地球の比較図。褐色矮星は、水素の核融合ではなく重水素の核融合が起きるが、重水素の量は少ないので短期間で終わり、その後は冷えていくことになる。これを見ると褐色矮星と木星の大きさはそれほど変わらないが、褐色矮星は密度が大きいため、質量的には木星を凌駕している。
太陽系から近い褐色矮星は、ほ座の方向約6.5光年にある。
NASA/JPL-Caltech/UCB

星たちは単独で生まれることは少なく、たいていは集団で生まれ、星団として輝くことになります。その代表的な天体がプレアデス星団(すばる)です。 しかしそのうち人間が独り立ちしていくように、恒星もそれぞれが独り立ちして離れていきます。太陽もかつてはたくさんの兄弟星といた可能性が高いですが、今となってはどれが兄弟星が見つける術はありません。
主系列星には、その質量や表面温度の違いから、O型主系列星からK型主系列星まで6種類あります。太陽は、G型の主系列星で、主系列星全体の8パーセント程度が同じG型と考えられてます。G型よりやや赤い(表面温度が低い)K型の主系列星は13パーセントなのですが、逆に表面温度が高いO型~F型までの主系列星は、全て合わせても恒星全体の4パーセント足らずといわれています。
では、残りの7割以上を占める主系列星は何かといいますと、赤色矮星と呼ばれているK型の温度の低い部類~M型に属する星です。これらの星は太陽の重さよりはるかに軽い星(ただ、太陽の8パーセント以上の重さがないと主系列星にはなれない)で、水素の絶対量は少ないのですが、星が軽い分、バランスを保つための核融合反応も穏やかでいいので、水素の消費も非常に少なくてすみ、1000億年~数兆年輝き続けると言われています。現在、宇宙誕生から140億年経っていると言われているので、寿命が尽きた赤色矮星はないと考えられています。
でも赤色矮星は時として巨大なフレアを発生するなど、星としては活発な動きを見せています。
太陽系に近い赤色矮星は、ケンタウルス座のアルファ・ケンタウリ(約4.25光年)や、へびつかい座のバーナード星(約6光年)です。
老齢期の星と、その最期
人間がそうであるように、星にも生まれた以上、終わりがあります。
星のエネルギーを作り出す核融合反応で水素がヘリウムに変わることから、星の中心部はヘリウムが増えていきます。ヘリウムの中心核は重力により収縮を始めると、その外側を囲む水素が核融合反応を起こすようになります。そうなると、エネルギーを放出する中心核が、星を収縮させようとする重力に勝るようになり、全体のバランスを保つために星は次第に膨張を始めるようになります。結果、膨張することにより星の表面の単位面積当たりのエネルギーが小さくなることから、表面温度の低下を招いて赤く輝くようになります。これを赤色巨星といいます。
赤色巨星の代表格は、くじら座のミラ、おうし座のアルデバラン、ペガサス座ε星などがあります。
さて、ここから先の星の進化には星の重さが関係してきます。太陽の重さのおよそ8倍までの星は、中心部のヘリウムが収縮による温度上昇で、ヘリウムの核融合反応が始まります。これによりヘリウムから炭素や酸素などが生まれ、さらに星はバランスを取るために膨らむようになります。やがて星は明るく輝くもののが、中心部は酸素や炭素以上の核融合反応を生じさせるエネルギーは持ち合わせていないため、核融合はここで止まります。膨張した外層はゆっくりと星から離れて、やがて惑星状星雲となってその一生を終わります。炭素や酸素の塊となった中心には白色矮星となっていきます。
一方、太陽の8倍以上の重さの星の死は壮絶です。炭素、酸素がさらに核融合反応を生じて、ネオンやマグネシウム、珪素と反応は進みます。それに伴い、星はどんどんと膨らんで、最終的には太陽の数百倍~1000倍近い大きさになります。これらの星を太陽の位置に置いたら、金星や地球は飲み込まれ、もしかしたら木星の軌道近くまでの大きさになってしまいます。

赤色超巨星であるアンタレスの例
破線は、火星の公転軌道で、アンタレス脇にあるOrange Starがうしかい座のアークツルス 右上の点が太陽の大きさ
Sakurambo at English Wikipedia, Public domain, via Wikimedia Commons
このような星は、赤色超巨星といい、さそり座のアンタレス、オリオン座のベテルギウス、そしてケフェウス座のガーネットスターなどがあります。しかし核融合反応も永遠に続くものではなく、鉄が生成された時点で核融合反応は止まります。そして星は中心に鉄の塊、その外側に珪素、さらに外側にネオンやマグネシウム、その外側に酸素や炭素とたまねぎの層状構造となっています。
やがて中心部の鉄の塊の重さが太陽の1.5倍くらいになると、重力のために自分の大きさを支えられなくなり中心に向かって崩壊していきます。そうなると鉄の原子は潰されて、中性子の塊になります。中性子星の誕生です。 その後、バランスを失った星の外層も中心に向かって落ち込みます。いわゆる重力崩壊です。しかし中心にはガッチガチの中性子星がいるため、落ち込んだガスは中性子星で止まり、その反動で星の外層は大爆発を起こします。これが超新星爆発です。
吹き飛ばされたガスの後には、中性子星・・・あるいはブラックホールが残りますが、ガスは超新星残骸として周囲に残りますが、長い年月の間に宇宙の闇に消えていきます。そしてその星から生まれた様々な元素は、次の星をつくる原料となるのです。輪廻転生・・・星の世界も同じなのですね。

コメント