春から夏、秋、冬と季節は移ろい、夜空の星もそれと共に違う装いを見せるようになります。ここでは、季節ごとの代表的な星空の目印を探しながら、夜空を楽しむやり方を書いてみました。まずは、1年中を通して見ることができる北極星から見ていきたいと思います。
北極星の探し方
星空の目印といえば、最初に北極星を思い浮かべるのではないでしょうか?ご存知のように北極星は現在はほぼ真北に位置する星です。(正確には西暦2100年ごろに天の北極(最も北である場所)に一番近づきます。北極星自体は黄色巨星(直径は太陽の約50倍)という大きな星ですが、地球から見たら2等星で、目立ちはしますが、そこまで光っていないって感じですね。また、北極星は単独の星ではなく三重連星ではありますが、人の目には1つにしか見えません。実は夜空に見える星の多くは、望遠鏡や精密な観測の結果、2つ以上の星が光っている連星系ですが。。。

これはハッブル宇宙望遠鏡が撮像した北極星の写真です。Polaris AとPolarris Bの星がありますが、右下の写真を見てもわかるようにPolaris Aには、すぐ脇にPolaris Abという伴星がついています。
このことから、北極星は少なくとも3つの星で構成されていることが分かっているのです。
NASA/HST – (Image: STScI-2006-02)
話を元に戻しましょう。
まず北極星を見つけるには、春~夏ではおおぐま座の北斗七星から探し、秋から冬ではカシオペア座から探すのが常道です。

星図はステラナビゲータ6(StellaNavigator/アストロアーツ)で作成しました。
上の図のように、北斗七星からはα・β星の距離をおよそ5倍した位置に、カシオペア座ではα星とβ星を結んだ線の延長とδ星とε星を結んだ線の延長の交点と交点とγ星を結んだ距離を5倍した位置に北極星があります。北極星自体は2等星なのですが、周りに明るい星がない分よくわかると思います。(ただし北極星を含むこぐま座の頭のほうにある星が、ほぼ北極星と同じ明るさなので、こちらと間違えないように気を付けてください。)
しかしながら北極星も未来永劫北の星として輝いているわけではありません。遠い遠い将来は北極星は北極星でなくなってきます。これは地球が歳差運動(簡単に言えば、地球の軸(地軸)がふらつき運動をしている)をしているからで、その関係で北極星も数千年後には真北に位置しなくなります。一万数千年後には、織姫星(ベガ)が北極星として輝いています。
ちなみにそのころの日本も夜の八時は明るくなってきます。数万年も経つと、時間感覚が現在と大きく異なってきます。もし興味のある方は、ステラナビゲータなどお持ちでしたら試してみてください。もし「持ってないよ~」って言われる方がいらっしゃいましたら国立天文台Websiteで4次元宇宙デジタルビューアというカテゴリーの中にMitakaというフリーソフトがあります。そちらで確認してみてください。面白いですよ。(ちなみにMitakaは古いパソコンでは十分に動作しません。詳しくは国立天文台のWebsiteを参照ください)
地球の歳差運動を簡単に解説するとこんな感じです。

数千年後、数万年後には恒星にもそれぞれの固有運動があるので今の形の星座のままでは見られないかもしれません。
もっともこのWebsiteを見ている人でこのような体験をできる人は100%いませんね。
春の大曲線
春の大曲線は、北斗七星の柄の部分をその角度でずっと延ばした先にあるうしかい座のアークツルス、またさらに伸ばした先にあるおとめ座のスピカを結ぶ線をいいます。ちなみにさらに伸ばすと4つの3等星で構成される「からす座」に突き当たります。からす座の南には有名な「南十字星(みなみじゅうじ座)」がありますが、これは日本では沖縄(石垣島や波照間島)じゃないと見えないですね。残念!
アークツルスは小麦色の明るい星で、おとめ座のスピカの純白さと併せて春の夫婦星と言われています。ちなみに夏の織姫・彦星と違い、こっちは夫のほう(アークツルス)が明るく見えます。
アークツルスは、ハワイではホクレア(喜びの星)と言われています。この星はハワイでは常に天頂付近を通過するため、遠くカヌーでハワイを目指す際にこの星が天頂に来るように航海したと伝えられています。しかし太平洋のど真ん中をカヌーで行くなんて…ちょっと、現代人には怖くてできません。ちなみにアークツルスそのものは「熊を追いかけるもの」という意味。星座の中でも、ちょうどおおくま座を追いかけていますね。
アークツルスは、地球からの距離約37光年(今見ている光は、ちょうど40代手前の人が生まれたころの光?)で表面温度は約4000度と推定されています。地球から見る恒星では、シリウス・カノープスに続いて3番目に明るい星です。(-0.03等)大きさは太陽の25倍程度と考えられています。
スピカは、地球からの距離260光年。表面温度は20000度以上といわれている白い星です。日本では「真珠星」と言われていますが、スピカそのものの意味は麦の穂という意味です。大きさは太陽の7~8倍程度で、もう一つの星があり連星系となっています。
話はズレますが、夜空で明るい星を1等星と私たちは言っていますよね。そのいわゆる1等星は全天で21個、日本からも16~17個見ることができます。星の明るさにも定義がありまして、細かい話はここでは割愛しますが、1.5等星より明るい星を私たちは1等星と呼んでいます。ですから全天一明るいシリウスは-1.5等星であり、最も暗い1等星はしし座のレグルスで1.4等星です。(同じ1等星と呼ばれている間にも10倍以上の明るさの差があります)その中で本当の意味(学術的)での1等星の明るさに一番近いのは、スピカであると言われています。

星図はステラナビゲータ6(StellaNavigator/アストロアーツ)で作成しました。
夏の大三角
夏の大三角は、夏を代表すること座の織姫さんと彦星さん、そして2つの星を分け隔てる天の川に輝くはくちょう座のデネブを結んだ三角(二等辺さんかくに近い)を指します。
まぁ、8月から9月にかけて頭の上を見上げて、他の星に比べて明るいなと思う星をつないだ三角です。
さて、織姫さんはこと座のベガという星です。等級は0等級で全天で5番目に明るい星です。スピカ同様綺麗な純白色で輝いています。地球からの距離は25光年。地球の歳差運動で、12000年後には北極星になる星です。
続いて、わし座のアルタイル・・・これは非常に高速で回っているためにミカン(あるいはアンパン)のように拉げていると考えられています。とても若い星です。ベガよりやや暗い0.8等星です。
最後にはくちょう座のデネブですが、この星は他の2つに比べて桁違いに遠い星(1500光年~3000光年?)といわれています。でもなおかつ同じ程度の明るさに見えるということはとんでもなく明るい星ということになります。明るい星=エネルギーをたくさん使って短命=超新星爆発を起こして、ブラックホールになる?ちなみにこの星をαケンタウリ(地球に一番近い恒星・・・約4.3光年)の位置におくと、満月よりはるかに明るく輝くでしょう。
ま、そういう経歴の星で成り立っているわけですね。

星図はステラナビゲータ6(StellaNavigator/アストロアーツ)で作成しました。
秋の四辺形
最近は、暑い日が続いていますが今年記録が破られましたが日本の最高気温は昭和8年の山形での40.2度だったらしいです。つまり戦前も暑いときは暑かった・・・。私自身は、エアコンに人間が慣れすぎて、暑さに対する免疫が失われたこと、またエアコンが普及して室外機からの熱風が見かけの気温を上げたこと、またまた緑や田んぼが少なくなったことが暑く感じるようになった原因かなと考えています。
それはともかく、処暑が過ぎると暑さもだんだん和らいできます。秋が近づいてきてますね。
では、秋の目印である秋の四辺形を紹介します。
これは、ペガサス座の星座の一部(胴体の部分)を指しています。実は、秋の四辺形は他の季節の目印と違い2~3等星で構成されています。しかしながら、四角にまとまっていることと天頂付近を通ることなどから意外とわかりやすいのが特徴です。四辺形を構成する恒星は、ペガスス座α星マルカブ(2.5等),β星シェアト(2.4等),γ星アルゲニブ(2.8等)、アンドロメダ座の頭部に位置するα星アルフェラツ(2.1等)です。アルフェラツは、ペガサス座にもアンドロメダ座にも併用されている星ですね。
マルカブは地球からの距離110光年、真南約3度の位置に渦巻銀河NGC7479があります。
シェアトは地球からの距離210光年、年老いた赤い星です。2.1等~3等の範囲で不規則な変光星です。
アルゲニブは地球からの距離570光年、青白い巨大星です。
アルフェラツは地球からの距離100光年、青白い星です。昔はペガサス座に属してたのですが、今は正式にアンドロメダ座の星です。
さて、このように2つ以上の星座をひとつの星が受け持つ星座は他にあるでしょうか?興味のある人は探してみてください。
また、アルフェラツとアルゲニブを結んだ線を南に持っていくとくじら座のデネブカイトスに、マルカブとシェアトを結んだ線を南に持っていくと南のうお座のフォーマルハウトに行き着きます。星座を探す目印にしてください。

星図はステラナビゲータ6(StellaNavigator/アストロアーツ)で作成しました。
冬の大三角と冬のダイヤモンド
日本で、冬の星座といえばオリオンなんでしょうか?ちなみにオリオンの腰辺りにある三ツ星は真東から昇って真西に沈むと言われています。なぜでしょうか?れっきとした根拠があります。暇な人は調べてみてください。
それはともかくとして、日本の冬の夜空は星が綺麗と言われています。なぜか?私は1等星をはじめとする明るい星が他の季節に比べて多いからだと考えています。冬の星座を代表するオリオン座は1等星と2等星で主要部分は構成されています。他にも全天一明るいシリウスなど明るい星が多い。それらが作る冬の星座の目印をたずねて見ましょう。
まず冬の大三角です。これはオリオン座のベテルギウス・こいぬ座のプロキオン・おおいぬ座のシリウスで構成されます。いずれも1等星の非常にわかりやすい星なのでそれとわかれば都会でも見えます。
ここで、オリオン座のベテルギウスは人間で言えばおじいさん星。もういつ死を迎えても(あるいは迎えているのかもしれないが)不思議でない星です。非常に大きくハッブル宇宙望遠鏡でその形が捉えられた(太陽のおよそ500倍!)と聞いたことがあります。しかし逆に非常に希薄な星です。平均密度は太陽の0.1%もないでしょう。それとこの星は変光星で0.2等から1.2等に変化しています。(そういえば2006年の冬は減光したと話題になりました)距離は520光年です。
続いて、シリウス。皆さんご存知の全天一明るい星です。明るいのは地球に近い(8.7光年)からかもしれません。伴星として白色矮星を従えています。シリウスの謎として「古代人が見たシリウスは赤い星だった」というのがあります。また、マリ共和国の現地民族(ドゴン族)は先祖がシリウス惑星系から来た人に宇宙の謎を教えてもらったとも言われています。(事実彼らの宇宙観は現代天文学に等しいかそれ以上の知識をもっているらしい)不思議な話です。
最後にプロキオン。地球からの距離11.3光年。表面の温度は太陽よりやや高い7000度と推定されています。この星にもシリウス同様白色矮星がお供についています。
余談として、シリウスから南にたどっていくと全天で2番目に明るい1等星カノープスに出会います。ただし日本では南の空低く、赤くやや暗い星に見えるようです。(私は日本で見たことはありません。4月にハワイで見ました。シリウス同様白くて明るい星でしたよ)

星図はステラナビゲータ6(StellaNavigator/アストロアーツ)で作成しました。
続いて冬のダイヤモンドですが、構成する星として、シリウス・リゲル・アルデバラン・カペラ・ポルックス・プロキオンを結ぶ6角形の並びを言います。冬の1等星を殆ど網羅している明るいダイヤモンドです。ではそれぞれの星を見ていきましょう。
まず、シリウスは割愛します。
リゲルはオリオン座のβ星です。ベテルギウスと対照的にこちらは青白い星です。日本では、源氏・平家の旗印に例えて「源氏星」といわれていました。表面温度は約12000度で、7等星の伴星を伴っています。私も1度20cm望遠鏡で肉眼で確認しました。シーイングのいい夜にチャレンジしてみてください。
続いて、アルデバラン。おうし座のα星です。星座絵ではおうしの目に位置しています。周りをヒアデス星団が取り囲んでいますが、アルデバランはこのメンバーではなく偶然この方向に見えている星です。
続いてカペラ。車のなまえにも使われましたね。この星はぎょしゃ座のα星です。太陽とほぼ同じスペクトルを持っています。太陽も遠くから見るとカペラのように黄色く見えるんでしょうね。ところでぎょしゃって何なのでしょう?星座絵では爺さんが子羊を抱いている絵なんですよね。話では、ギリシャ時代に活躍して後に王様になった人(足が不自由で、馬車に乗って戦場を駆け巡ったらしい)がモデルといいますが・・・
続いてポルックス。ふたご座のβ星。兄カストルと弟ポルックスといいますが、ポルックスの方が明るい星です。表面温度は太陽より低いですが、大きい星なので絶対光度は太陽よりはるかに明るいです。
最後のプロキオンは割愛します。

星図はステラナビゲータ6(StellaNavigator/アストロアーツ)で作成しました。
さて、星の目印はわかりましたか?
今度は実際の星空で確かめてみてください。もっともっと星座(星空)が身近になると思いますよ

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